ひろげていこう 発達障害のWA!~「困ってる子」という視点からの支援~

アスペルガー症候群やADHD、学習障害、自閉症などの発達障害の子は、困らせる子じゃない「困ってる子」。その視点から困ってることを解決する支援のヒントや工夫を考え、もっと発達障害の子たちから見えてる世界によりそっていきましょう!

自閉症の人の常同行動ってどういうことかな?

くるくるコマのように回り続けたり
体を前後にゆすったり
自分をたたいたり・・・

自閉症の人たちのこういう行動、どうして起こってるか知ってますか?


これらの行動は、常同行動や自傷行為と呼ばれています。
今日はこれらの自閉症スペクトラム障害の人たちの常同行動や自傷行為を、感覚の世界から見てみたいと思います。

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常同行動、その理由

常同行動や自傷行為って、自閉症スペクトラム障害の人たちにはよく見られますが、特に知的障害を伴う方によく見られますよね。

これってね、やっぱり「知的」な部分に関係が深いからなんですよ。

常同行動や自傷行為に関係する感覚を二つにグループに分けてみます。
視覚・聴覚」の感覚のグループと、「触覚・固有感覚・前庭感覚」のグループではどんな違いがあるかわかりますか?

目からの情報や耳からの情報ってね、「知的要素」が多いんですよ。
例えば、誰かに話しかけられた時、聴覚によってインプットされた「言葉」「文」という音の連続から「意味」を考えますよね。
そして文字を読んだりする時に活躍するのが視覚です。文字の連続から「意味」を考えますよね。
もちろん、音楽をきいたり、ただ景色を見てる時っていう例外はありますが、聴覚や視覚の大半は、知的な要素を外の世界から取り入れる働きをしているんですよね。 

一方、何かに触れたことを感じる触覚や、筋肉や関節からの体の位置感覚を感じる固有感覚、重力やバランスを感じる前庭感覚などは、頭の中で知的にそれを理解しなくても感じる事のできる感覚ですよね。知的な要素よりも、もっと人間的な本能の部分の感覚なんですよね。だから、知的障害のある人達は、これらの「自分が理解可能な感覚」に依存する傾向が強くなるわけです。

こういった感覚の要因が、常同行動や自傷行為に関連してるんだと思うんですよね。

例えば、外の世界で何が起こってるのか理解できない時は不安になりますよね。
逆に、とっても嬉しいんだけど言葉などでどう表現したらいいか、どう伝えたらいいかわからない状態の時もあります。
そういう時に、体を前後にゆすったり、頭を打ちつけたりといった、「自分が理解できる感覚」に没頭したいんですよね。それで安心を得る。(もちろん例外もありますが…) 

言葉での指示の連続でその指示が理解できない時など、急に体をゆすったりする自閉症のお子さんは多いと思います。それは、

「言われてる事がわからないんだよ。だから不安なんだよ」ってサインなんですよね。

だから、「やめなさい」じゃなく、不安をおこさないよう「彼らにわかる方法」で伝えることが大切なんですよね。 

あと、不安だけじゃなく、「ストレス」そして「疲れ」を感じた時も、自分の理解しやすい感覚に没頭したいわけなんですよね。
なので、そういう状態の時に、ストレスの外的要因を減らすのも大切ですが、「わかる感覚」を与えてあげて不安を減らし、落ち着きを与えてあげるのも大切なわけです。

だからね、常同行動だけじゃなく、自閉症の子供達がパニックを起こした場合、言葉で指示するよりも大切なのは、彼らのわかる方法で安心を与えてあげること、彼らの理解できる感覚で安心を与えてあげることなんですよね。

例えば、ぎゅっと抱きしめてあげたり、トランポリンを飛ばしてあげたり、ブランコに乗せてあげたり・・・彼らが理解できる感覚を与えてあげるのがパニックをおさめる方法の一つなんですよね。

日常に感覚遊びの機会がある大切さ

逆にいうと、日々の活動の中で自閉症の子供達がわかる感覚のアクティビティを意識的に取り入れてあげると、落ち着きも増えるし、パニックも減るんだと思うんですよね。

アメリカでは、センソリーダイエットというのを日常の生活に取り入れている発達障害のお子さんは多いです。日本でも増えてきてますよね。

センソリーダイエットは、日常生活のルーティンの中に、その人が必要としてる感覚刺激をうまく得られるように組み込んでいって、ストレスを減らし、気持ちよく一日を過ごせるようにしましょうっといったものです。

メニューは、その人が必要とする感覚に基づいて作られるので、何がいい!というのは一概には言えませんが、一例をあげると

  • センソリーブラシ
  • ジョイントコンプレッション
  • おもりの入ったベスト・ブランケット
  • 好きな感触のぬいぐるみなどで遊ぶ
  • 振動するおもちゃ・電動歯ブラシ
  • お砂場・どろんこ遊び・水遊び・半身浴(ぬるま湯)・水泳
  • セラパティ・スライム
  • セラピーボール遊び
  • トランポリン・ジャンプ
  • 手押し車
  • かけっこ
  • うんてい・はしご登り
  • 三輪車・自転車・スクーターボード遊び
  • 風船テニス

などなど

セラピーで一番人気なのがこちらのライクラの全身タイツ↓ 

Body Pod Sensory Sock (7-Sizes) Large Royal Blue by Bip Gear [並行輸入品]

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体を適度に締め付ける感じで、これは固有感覚が弱いお子さんにお勧め。アメリカのアマゾンだと30ドルくらいで手に入るから、結構Myライクラスーツを持ってるお子さんは多いんですよ。

頭からかぶっても中から外が程よく見えるようで、これを頭からかぶったまま鬼ごっことかする子もいます。着てると落ち着くようです。 

↓↓↓こういう風に、スケジュールにするのもいいかもしれませんね。(英語ですが…)

見通しを立て、その中にセンソリアクティビティを入れてあげると不安が減るし、苦手なんだけど、でもやっぱりみんなと同じようにしたいって思いがかなえられ、安心して参加できそうですよね。

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あと、センソリーダイエットには、知的な要素を使わなくていい視覚や聴覚のアクティビティやにおいを使うのもあったりします。(書ききれません。汗)

おわりに

自閉症は英語でAutism。「Auto」は、「自分の、自己の」を表し、「ism」は、「主義や状態」といった意味があるんですよね。
意味の解釈の仕方は諸説ありますが、私は、感覚の世界の視点から彼らを考えてたら、「自分の理解できる(感覚の)世界で生きてる人たち」なんじゃないかなと。そういう状態が「自分=安心できる」なんじゃないかなと。


だからね、むりやりこっちの世界にその世界から抜け出させようとしてもダメなんだと思うんです。


そうじゃなくてね、外の世界との懸け橋をいっぱいいっぱいつなげてあげて、自分の世界を少しずつ広げていってあげて、「自分が理解できる世界=自分が安心できる世界」を増やしていくことが自閉症の子供たちの生きやすさにつながるんじゃないかな、なんて思ってます。

今日もここまで読んでくださったかた、どうもありがとうございます。