ひろげていこう 発達障害のWA!~「困ってる子」という視点からの支援~

アスペルガー症候群やADHD、学習障害、自閉症などの発達障害の子は、困らせる子じゃない「困ってる子」。その視点から困ってることを解決する支援のヒントや工夫を考え、もっと発達障害の子たちから見えてる世界によりそっていきましょう!

自閉症の人の感覚過敏による偏食とホムンクルス 自分を責めないで

自閉症の人の偏食は、好き嫌いというわがままなどの感情の次元ではなく、感覚過敏や同一性保持の特性からくる恐怖に対する防衛反応であり、安心を求めた行動なんですよね。 

感覚統合療法での改善は少しはみられるものの、残念ながら明確な解決方法は見つかっていませんが、「安心」を求めた行動という観点から「無理強い」は悪循環でしか無い事をまずは知って頂けたらなって思うんですよね。

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まずは、このブログの執筆のきっかけになった私のツイートをご覧ください。

口の中が異物を感じやすい理由:ホムンクルス

五感という言葉を耳にしたことがある人は多いと思いますが、人間には三種類の感覚のカテゴリーがあります。

  1. 触覚・固有感覚などの体性感覚
  2. 視覚・聴覚・嗅覚・平衡感覚などの特殊感覚
  3. もう一つは、内臓に由来する内臓感覚です。 

体性感覚の場合、皮膚などの感覚をインプットする感覚器で得た感覚情報は一旦視床に集められ頭頂葉にある体性感覚を処理するエリアに送られます。脳のそのエリアは、体性感覚器官からインプットされる感覚情報の入力量や生きて行くために重要なものに対して多くの面積を与えています。

 

その「体性感覚の地図」を表してくれているのが、ホムンクルスっていう小人なんですよ。

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この頭頂葉の脳の図(左図)や立体のホムンクルス(右の写真)を見てもらったらわかるように、手と唇と舌が実際の体積に比べて異常に大きいのがわかりますよね。要するに、それらからの感覚情報は生きて行く上で重要であり、できるだけ沢山の情報が得られるように人間の体はできているんですよね。感度が高いというわけなんです(センシティブ)。 

例えば手のひらに砂がついていたら気になってはたきたくなりますよね。でも背中や足に同じ量の砂がついてても気にならないですよね。同じように、ほんの一粒の砂のような異物が口に入ったら、すぐに気づきますよね。魚の小骨に気づけるのも、この機能のおかげなんですよ。

 

では、感覚過敏によって、唇や舌の感覚が普通よりも過敏になっていたらどうでしょう?ただでさえ多くの感覚情報が唇や舌から脳に送られていくのに、まるで異物のような嫌な食感の物が口に入って来た時、吐き出したくなるはずですよね。これって恐怖ですよね。だから、感覚過敏の自閉症の人の偏食は、恐怖に対する防衛反応でもあると思うんですよね。あさりのお味噌汁に砂が混じっていたり、魚の小骨が入っていたら、次のひと口からはすごく警戒しますよね。さっきまでよりはもっと念入りに小骨の有無を調べてからじゃないと口に入れたくなくなりますよね。それと同じなんですよ。

では、怖くなって自分を守ろうとした時に必要なのは?

それは安心ですよね。偏食のある自閉症の人が同じものだけを食べ続けるのは、同一性保持=安心を求めている行動なんですよね。

 

でもね、中々こういうメカニズムをマニアックに知ってる人っていないのが世の常で、「我慢して食べてみようね」「好き嫌いはいけません」と責められる自閉症の人も多いと思うし、「どうして食べれるように工夫しないの?」「甘やかし」「親の責任」と責められるお母さんも多いと思うんですよね。自閉症の感覚過敏からくる偏食は、こういった二次的な被害も生み出しかねない特性なんですよね。

 

だからこそ、誤解を生まないためにも、自閉症の人やそのご両親が無理解の為に責められることが無い事を祈ってこの記事を書きました。

どうか自分の事を責めないでくださいね。

補足:口の中、口の周りの感覚刺激グッズ 

これは、作業療法で使われている口腔内&唇&頬の感覚刺激に使われていました。 

 

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バイブレーションのスティックの先に、用途に応じたラバーを付けて使うんですが、唇や頬、口の中を刺激する事で感覚の統合を促すためのセラピーです。よだれが気になるお子さんや、食事中&食後に口の周りがすごく汚れていても気づかないお子さんにもこういう感覚刺激グッズはお勧めですよ。(注意:無理強いは絶対だめですよ!!!)