ひろげていこう 発達障害のWA!~「困ってる子」という視点からの支援~

アスペルガー症候群やADHD、学習障害、自閉症などの発達障害の子は、困らせる子じゃない「困ってる子」。その視点から困ってることを解決する支援のヒントや工夫を考え、もっと発達障害の子たちから見えてる世界によりそっていきましょう!

スマホ子守が与える発達への影響について

最近「スマホ子守」についての記事を見る機会が増えたように思います。
このニュースなんかそうですね。

「スマホ子守」3歳児の3割 「発育ゆがめる」懸念も - 西日本新聞 

この記事中では、【子どもに不寛容な風潮が強まる中、あやし方が分からない親がスマホに頼る現状がある】【発育への影響も指摘されている】とあります。

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子育てにおけるスマホに関わるニュースには、ほとんどの場合【発達への影響】について触れてますが、明確な【影響】について述べている記事というのが全くないんですよね・・・。なんかモヤモヤしませんか?

ひどいものなんて、【スマホ子守で発達障害になる】的な事が書いてあるサイトさえもあります・・・。しいていうなら逆です。「社会性に困難を持つ発達障害の子たちは、社会性が発達している子達よりスマホに夢中になりやすい」ならあり得ますが…。 

そういういろいろな「モヤモヤ」がありますが、今日は、学童期に影響を及ぼすかもしれない【発達への影響】に絞ってスマホ子守・スマホ遊びのことを考えてみたいと思います。

スマホ子守が発達に与える影響

感覚器官の成長へ与える問題から、スマホ子守の影響を考える

小さな赤ちゃんというのは、まずは自分の体から始まり、徐々に外の世界につながりを求めていきます。その「未知の世界への探検」を支えるのが「感覚」です。目で外の世界を見(視覚)、音で外の世界の様子を判断し(聴覚)、肌のぬくもり(触覚)で親との愛着の形成をしたりして成長していきます。 

赤ちゃんは、「原始反射」というものを持ってこの世に生まれてきます。「原始反射」というものは、赤ちゃんがなんの知識も持たず、予習もせずこの世に生まれてきても生きていける為に最低限生まれながらに備わっている(であろう)能力です。赤ちゃんが生まれてすぐにおっぱいの飲み方を知ってるのもこの原始反射のおかげなんですよ。 

原始反射はまた、赤ちゃんの体や行動の成長にも関与しています。だれが教えなくても、寝返りができ→ハイハイし→つかまり立ちし→歩けるようになる、というのも、原始反射があるからこそなんです。その原始反射のおかげで得た能力を、私たちは生活の中で繰り返し繰り返し行って行くことで、それらの行動がもっと正確になっていくんですよね。 

触覚がもたらす成長への影響

そんな中で、大切なのが「触覚」です。赤ちゃんの時に得た手のひらからの触覚を使って、小さいお子さんは遊びを通してその感覚を育てていき、それがもっと上の能力に使えるようになっていきます。例えば、ハイハイを通して得た手のひらの刺激で手の使い方を覚え、幼児期には道具を使って遊べるようになり、それが学童期には「書く」という機能の成長につながっていきます。でも、その大事な時期にスマホばかりを触っていると、物を手のひらでつかんだり、操ったりする機会が減ってしまいます。そういう経験が幼児期に少ないと、手のひらの中で色んな重さや硬さ、温度を感じて、それらを触った感覚を脳でうまく理解でにくくなり、字を書いたり、おはしを使ったり、が難しくなるんですよね。 

スマホ遊びの多さが、目と手の協調運動に及ぼす影響

赤ちゃんの原始反射の一つに非対称性緊張性頸反射というのがあるんですが、これは、「物を見て、その物に手を伸ばして、それを取る」という作業を通じて、目と手の協調運動を育てます。こういった目と手の協調運動も、幼児期につみきなどの遊びを通じて質を高めていき、学童期に入ると、ボールキャッチをしたり、「書く」ということにつながる育んでいくべき大切なスキルです。 

また、首の上下の運動も原始反射にあって、乳幼児期の、手元にあるもの、遠くにあるものを繰り替えし見る経験が、「板書」のスキルにもつながります。スマホばかり使うということは、手元の一点ばかりみるということなんで、近くにあるものを見、遠くに視点を移しまた手元を見る、という経験が少なくなりますよね。教科書を読んでる最中に黒板に目を向けたら、教科書に視点を戻したときどこかわからなくなった、黒板の字をノートに書くのが難しいというお子さんたちは、こういう「遠くと近くを見る」経験が幼少期に少ない可能性が考えられます。

スマホ遊びが、子供の「視る」力に及ぼす影響

そして最後に「視機能」について。

子供たちはの「見る」「視る」という力は、段階をおってついていきます。

  1. まず、自分が止まってて動いてるのもを目で追えるようになり(赤ちゃんがそうですね)
  2. そして、自分が動いているときに止まっているものを視れるようになってきます(例えばブランコに乗ってるときに親御さんの姿を見つけられたりするのがこれです)
  3. 最後に、自分が動きながら動いてるものを視れるようになる(鬼ごっこや、サッカーなど)んですよね。

スマホでばかり遊んでいると、こういう視機能の成長にも影響を及ぼす心配があります。

発達障害の子供たちへのスマホ遊びの影響って?

ざっと思いつくままスマホ遊びが子供の発達に与えうる影響について書いてきましたが、「スマホでの遊びが発達障害の子供に影響を与える割合は定型発達の子より多いのか?」と聞かれれば、YESです。

最初に書いたように、赤ちゃんは原始反射というものをもってうまれ、それらを使って成長していきます。しかし、発達障害の多くの子たちは、この原始反射をうまく使えず、それが後々の成長に影響を及ぼすことが多いんですよね。だから発達障害の子達には、定型発達の子達よりも体を意識的に動かすことで原始反射がうまく使えなかったことで遅れてる成長を補う必要があるというわけです。(これらのことは、このブログのメインテーマとしてまた追々触れていきたいと思ってます) 

スマホ遊び・子守、いいの?悪いの? まとめ 

最後に、私は、スマホ子守が絶対に悪だとは思いません。社会環境が変わり、昔みたいに子供が自由に遊んでても安心な場所は減り、核家族化で「子供と母親または父親」が二人きりで出かける機会も増えたわけだし、子供の声が「騒音」と言われるようになった現代でもあり、時にはスマホに頼ることも必要だと思います。

 

ただ、「いつもスマホで子守」ではなく、「今日はちょっとスマホに頼っちゃったなぁ~」という時に、親子で触れ合いながら遊ぶ機会や、体を使って遊ぶ機会を意識して作ればいいんじゃないかなって思います。

 

今日はスマホが子供の成長に与える影響を、学童期の学習での「困った」という影響までのちょっと長いスパンで考えてみましたが、親子の愛着だったり、コミュニケーションや社会性…まだまだ成長に与える影響はあると思います。長くなったのでまた別の機会に。

ここまで読んでくれた方、どうもありがとうございます♪