ひろげていこう 発達障害のWA!~「困ってる子」という視点からの支援~

アスペルガー症候群やADHD、学習障害、自閉症などの発達障害の子は、困らせる子じゃない「困ってる子」。その視点から困ってることを解決する支援のヒントや工夫を考え、もっと発達障害の子たちから見えてる世界によりそっていきましょう!

自閉症の人のパニックの原因の一つ、刺激過多について。

初めての場所や、初めて何かをする時って、体が緊張状態になりますよね。

そういう時っていうのは、周囲のちょっとした感覚刺激にも過敏に反応しやすい状態に体がなっているんですよね。 

見通しを持つのが難しかったり、感覚情報の取捨選択が苦手な自閉症の人は、体がそういった過敏に反応しやすい状態にあることが多く、周りの人以上に刺激に対し反応してしまうことで刺激過多になり、パニックを起こす原因になることもあります。

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自閉症のお子さんが刺激の処理(取捨選択)をしきれずにパニック状態に向かって行く様子をうまく表現している動画を見つけました。英語ですが、お子さんが刺激の多すぎる見慣れない場所で、感覚のセンサーが振り切れて行く状態が息づかいから理解できる内容になっています。

※【注意】少し刺激が強いので、体調の悪い方は視聴を避けてくださいね※


Autism TMI Virtual Reality Experience

 

自閉症の人がこういう状態になるのは、特別なお出かけの時はもちろん、普段の学校や家などの生活の場でもあります。 

学校行事で学校全体が普段と違う状態だったり、全校集会やカフェテリアでのざわつきだったり。

なじみの教室で授業を受けている時でも、授業の内容がさっぱりわからず不安になることで体が緊張状態になりパニックになることだってあります。

刺激が多すぎてパニックになった!その時どうする? 

では、そういう時はどうしたらいいのでしょうか?

先ほどの動画の後半にあったように、刺激の少ない場所に移動するのはとても効果的です。マックスの興奮状態から少し落ち着いたころに、穏やかな落ち着いたトーンで「大丈夫だよ」と伝えてあげるのもいいかもしれません。(逆に、パニック状態の時に甲高い慌てた声で早口で話しかけたら、それ自体が余計な「刺激」となって逆効果になりがちです。)

 

体の緊張をほぐしてあげる事で、気持ちを落ち着かせる方法も効果的です。

過去記事ですが、記事の後半にパニック時の対処方法を紹介しています。

 

chubby-haha.hatenablog.com

上の記事にあるセンソリーブラシ。これは多くの感覚に問題があるお子さんには効果的なんですが、うちの息子の様に体が大きくなってしまっているお子さんにはセラピーボール/バランスボールをつかったマッサージもいいですよ。 

やり方は、

  1. マットや布団などの上にうつぶせに寝転んでもらい、
  2. 肩から背中を伝ってつま先までセラピーボールを押しつけながら転がしていきます。   ※この時、頭や首は絶対に避けてください。押し付ける強さは、お子さんが「それ気持ちいい」という強さを確認してくださいね。
  3. そして、つま先まで転がしたら、セラピーボールを持ちあげて肩から再スタートしてください。(肩からつま先方向への一方通行です)

テンションがハイパーな場合や落ち着きがない時にも効果的ですし、寝る少し前にすることで、入眠をすんなりする効果もあります。お子さんとコミュニケーションを取りながら最適な方法を見つけてみてください。

環境調整:自閉症の子に優しいセンソリールーム

感覚刺激の多い状況をあらかじめ避けようとするのも大切ですよね。

ヨーロッパのとある空港が、このほど自閉症の人達の為のセンソリールームの提供を始めました。

Europe’s first airport sensory room at Shannon Airport for people with autism – Patient Talk 

旅行という非日常ということで、体は興奮状態ですよね。そのうえ飛行機を待っているまでの空港内は刺激が一杯です。そういう状態で飛行機に搭乗すればパニックを起こす確率もおのずと高くなります。だから飛行機移動を避ける自閉症の家族も多いんです…。でもセンソリールームという自閉症の人にとって最適な空間の提供によって、Equal Access=誰もが同じように飛行機を利用できることが保証されますよね。 

理想を言えば、街の至る所にセンソリールームがあればいいのでしょうが、そういうわけにもいきませんよね。でも、ヨーロッパの空港のような前例の紹介や、「こういう人たちがいるんですよ」という認識の広がりで沢山の人の関心が向くことによって環境がもっとAutism Friendlyに変わっていくきっかけになるかもしれません。

オーティズムフレンドリーな社会を目指して 

『4月2日のWorld Autism Awareness Day(世界自閉症啓発デー)でのたくさんの人の小さな呼びかけの一つ一つが、たくさんの人に届きますように。』そんな思いを込めてこのブログを書きました。読んでくださったあなたの心に届いて何かを変えるきっかけになってくれればうれしいです♪