ひろげていこう 発達障害のWA!~「困ってる子」という視点からの支援~

アスペルガー症候群やADHD、学習障害、自閉症などの発達障害の子は、困らせる子じゃない「困ってる子」。その視点から困ってることを解決する支援のヒントや工夫を考え、もっと発達障害の子たちから見えてる世界によりそっていきましょう!

発達障害、Awareness(啓発)からAcceptance(受容・承認)へ

今から15~20年前、「発達障害」という言葉を知っている人はごく少数の関係者に限られていたと思います。その頃に「何か育てにくい…」「私の子育てが間違ってる…?」と悩んでいた親御さんの多くは、お子さんが発達障害だと診断されて初めて発達障害と言う言葉を知ったんじゃないかなって思います。 

そして2006年平成16年12月10日、発達障害者支援法の施行によってようやく「発達障害」が世間一般にも認め始められたように思います。 

また、神戸のNPO法人あっとオ―ティズムのお母さんたちによって日本にもたらされた毎年4月2日の世界自閉症啓発デーに行われるLIUB(ライトイットアップブルー)や発達障害のあるお子さんの親御さんや支援者の日々の発達障害の啓発活動を通じて、今や「発達障害」という言葉を知らない人は少なくなったのではないかと思います。 

そういった変化の中で、「もしかしたらうちの子発達障害かも…」「私、発達障害?」と、『困っている事の原因が発達障害にあるかもしれない』と気づき、それが診断のきっかけになってきているのは昔と大きく異なる点ではないかと思います。

 

こういった感じで、「発達障害」の啓発(Awareness)は、一定の成果をあげてきたんじゃないかなって思うんですよね。で、これから何が大切かというと「Acceptance:発達障害の人がみんなと同じ社会で自分らしく生きていける為に必要な社会の理解」ではないかと思うんです。

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 発達障害の人は何に困っているの?どう関わればいいの?

例えば、視覚障害や聴覚障害がある人の障害は、目が見えない・見えにくい事、そして耳がきこえない・きこえにくいことだというのはわかりますよね。でも、「視覚障害や聴覚障害のある人達が目が見えない・耳が聞こえない事で日々どんな事で困っているのか」を知っている人は少ないんじゃないかなって思うんですよね。 

例えば、聴覚に障害のある人は、ドライブスルーを利用できません。何かお店などに問い合わせたくても電話で問い合わせる事はできず、Faxやメール、他の誰かの手伝いが必要になるんですよね。日々のコミュニケーションにおいては、手話で会話ができる人はごく少数なので他の方法が必要になります。その解決方法の一つが筆談だったりしますよね。

1)障害名=聴覚障害

2)障害によってハンディを背負っている事=耳が聞こえない・聞こえにくい

3)障害によって困っている事=コミュニケーションなど

4)私達に何ができるか?=筆談、視覚による情報提供など

 

これを発達障害に当てはめてみたらどうでしょう?

1)障害名=発達障害(自閉症・ADHD・学習障害など)

2)障害によってハンディを背負っている事=???

3)障害によって困っている事=???

4)私達が発達障害の人と関わる時何ができるか?=???

発達障害のある人や家族、支援者には???の部分をわかっている人は多いと思います。最近、発達障害の診断名の独り歩きを懸念する声があがってきていますが、その原因の一つに世間の発達障害の認識が「発達障害が(1)の段階=啓発」で止まっている事があると思うんですよね。

 

発達障害の人がより生きやすい世の中になる為には、そろそろ(2)~(4)の部分の理解を、発達障害の事をよく知らない人に理解して貰う事だと思うんですよね。それがAcceptance

まず最初に大切なのは、「発達障害の人が困っていること」を知って貰う事だと思うんです。

過去記事です↓ 

 

chubby-haha.hatenablog.com

 

こんな風に「発達要害の人は困ってる」という事を知って貰った上で、発達障害の人に対して、どんな風に関わればいいか、どんな風にふるまえばいいか、どうコミュニケーションを試みてもらえればいいかを知って貰える働きかけが発達障害の人への理解をすすめるためにこれからもっともっと必要になってくると思うんです。 

わかる人にはわかる

 ある時息子がききました。「わかる人にはわかるって表現、おかしいいよね?」と。確かに言葉通りにとればそうなりますよね。「わかる人は、わかってるからわかる」「わからない人は、わかってないからわからない」

そこで、息子にこの言葉の意味を分かりやすく教える為に少し考えてみました。 

      「今話している事の『前提を共有』している人にはわかる」 

この説明と少しの例えで息子はストンと理解してくれました。

 

今の「発達障害」の世間での理解度は「わかる人にはわかる」という状態だと思うんですよね。 

例えば「騒がしい場所に行くにはイヤーマフが欠かせないよね」といった会話は「聴覚過敏のある発達障害の人がいて、そういう人の中にはイヤーマフで解決できる人がいる」といった前提を共有している人の間でだからこそ成り立つ会話ですよね。 

こういった「前提の共有」の範囲を広める事=「わかる人にはわかる」の範囲を広めていく事、それが発達障害のAcceptanceにつながっていくんじゃないかなって思うんですよね。 

そうすることで、発達障害の間違ったレッテルや、診断名の独り歩きなどの問題も解消されていくのかなと。

 

今までの発達障害の啓発は、「発達障害」の存在を多くの人に知って貰う、いわば点という個人の数(量)を増やすことで「発達障害を知ってる」という集合体を大きくして行った活動だと思うんですよね。

でもこれからは、その個人個人が「発達障害ってこんな事に困っています」「そういう時はこんな風に関わってもらえたら助かります」という知識(質)を高めていくようにして、今ある「発達障害を知っている」という集合体の一つの点(=個人個人のケース)を大きくすることで、さらに「発達障害」の集合体を内容のあるものとして大きくして行く時期に来てるんじゃなのかなって思うんですよね。(例えば、千個の点の集まりでできている塊が、一つずつの点が大きくなることで更に塊が大きくなっていくイメージです)

でも、こんな事、私一人ではできっこありません。

なので、できる人が、自分のできる範囲で発達障害Acceptanceを広げていって貰えたらなって思います。

ご協力,ぜひお願いいたします。