ひろげていこう 発達障害のWA!~「困ってる子」という視点からの支援~

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障害のある子の学校での居場所と先生の居場所問題【雑記】

ハフポストさんに寄稿した記事

www.huffingtonpost.jp

へTwitterやFacebookで沢山の様々な反応をいただきました。

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 現状に不満を抱いている方々の意見を抜粋すると、 

「じっとできないから他の子の邪魔にならないようにと支援級に行かされてる」

「親学級には”交流させてもらってる”と考えてくださいと、支援級の担任に言われた」

「聴覚過敏があるからそもそも交流なんてなくていい。ずっと支援級にいたい」

「科目ごとに対応してほしい」

「インクルーシブをただ同じ場所にいることだと勘違いしている先生が多い」 

などなど…。

 

感想や意見は様々ですが、根底に共通しているのは、

「そのお子さんのニーズに見合った居場所」ではなく、大人の都合というか、あまり深く考えずに便宜上そうしているといったケースが不満の原因になっているんですよね。

先の記事の中で

障害のない子供に我慢を強いている環境があるのなら、それは障害のある子の責任ではなく、大人の責任だと私は思います」

と書きました。

「大人」とは、社会や保護者、そして学校の先生方が該当すると私は考えているんですが、その中の一つである「学校の先生方」がその責務を全うする為に適切な労働環境が保障されていない事が子供に影響を与えている、という根本的な解決すべき問題があると思うんですよね。

 

日本を離れて久しいので、日本の学校教育の現状についてあまり詳しくない私の感想に過ぎなのですが「先生の居場所があまりに不安定じゃないのか?」と危惧しています。その点について、アメリカの教育現場と比較してみたいと思います。

 

アメリカでは、支援級の先生と一般学級の先生は明確に分かれていて、担う責務も違います。基本的に一般学級の先生が自分の意志ではなく支援級を担当する事はありません。

日本の友人から何度か聞いた事があるんですが、「次に支援級に異動してくる先生は、他の学校の一般学級で問題を起こした先生」というの、一般学級で問題を起こした先生の「適切な居場所」が支援学級だとは到底思えないんですよね。こういう事はまずアメリカでは起こりません。 

 

アメリカでは州によって違いが多い事もあるんですが、私が住んでいる地域に限って言えば、一般学級&支援学級の先生は、固定制です。例えば1年生の先生は、ず~っと1年生を教えます。日本にあるような、異動もありません。先生方は自分の意思で異動されることはあっても、ご自分が希望される限り、同じ学校で、同じ学年を教え続けます。

この制度によって、なかなか若い先生方の参入が難しい事や持ちあがりがない(1年限り)という欠点はあると思うのですが、先生方がその学年の子供達に対する「スペシャリスト」になるメリットは大きいと思うんですよね。もちろん、支援学級の先生も支援教育のスペシャリストです。同じ先生がずっと支援学級担当なので子供達も安心できます。

 

大抵の先生方は、ほぼ定時に帰宅されます。これは、「スペシャリスト」であるがゆえに、例年使っている教材をその年の子供に見合わせて調整する程度でいいので、時間の余裕が生まれる為だと思うんですよね。

 

そして教材の準備にかかる時間以上にメリットがあるのは、2~6年生の担任の先生方が、自分がいつか担当するであろう子供たちの成長を自分が担当する前に知れる事です。異動する心配がなく、同じ学校&学年に腰を据える事によってそれが可能になってるんですよね。

 

こんな風にアメリカの学校では、先生方の「居場所」がしっかり確保され、そのメリットが子供達にも先生にももたらされていると思うんです。「子供達のニーズや得意な事」を知る機会が増える分、適切に対応できるようになりますよね。

来年度どこか違う学校に異動になったり、来年度何年生を担当するのかわからない、一般学級の先生が突然支援級を任されたりといった「安定した居場所のない状況」だとそこからうまれるデメリットの方が多くなってしまうのは必至じゃないかと私は思うんですよね。

 

「子供達のニーズにあった居場所」の確保の為に必要な「先生方の居場所」の大切さにもう少し日本の教育を担う人達が気づいてくださったらな・・・と願うばかりです。

 

【追記】

この記事を受けて、「家庭環境」「親の余裕」の大切さにも言及してくださったフォロワーさんがいらしゃいました。凄く大切な視点だと思うので、掲載させてもらいました。